口腔内、食道、胃、小腸、大腸など、消化管の至るところに慢性的な炎症をきたす病気です。
潰瘍性大腸炎とならび、代表的な炎症性腸疾患の一つです。
日本での患者数は増加傾向にあります。
発症に至る詳細なメカニズム原因は現在も研究段階にあり、遺伝的な要因や環境要因、腸内細菌叢の変化などが複雑に絡み合い、異常な免疫応答を引き起こした結果、消化管での炎症が起こると考えられています。
環境因子としては、喫煙、衛生環境の近代化、食生活の西洋化などが考えられています。
患者様の7〜8割には、繰り返す腹痛や下痢が認められます。
小腸で炎症が起きると、消化吸収の異常による体重減少をはじめ、全身倦怠感が出現します。腸管の壁に穴があく難治性の穿孔、癒着、皮膚と腸管、腸管と腸管の間などに通り道ができる瘻孔、狭窄、閉塞などが起こると手術や内視鏡的な狭窄拡張術が必要となります。
炎症に伴う発がんのリスクも指摘されており、上記のようなことを避けるために、治療を継続して寛解状態を維持することが大切です。
近年は免疫調節薬や生物学的製剤の登場で、長期寛解を維持できる患者様が増えてきており、落ち着いている患者様の治療継続に関しては、クリニックでも可能と考えています。
大腸カメラやエコーでの精査は当院での検査が可能です。CTやMRIに関しては、当院から予約を取ってご自宅から近い検査専門クリニックで受診いただき、結果を当院でご説明することも可能です。
小腸内視鏡検査などを用いた小腸病変の精査に関しては、当院では行っておりませんが、大学病院などの専門施設へ行っていただくなどの連携をとることも可能です。
現在、専門病院で加療を受けておられる患者様でも、日頃の治療薬の継続は通院しやすい当院で、年1回の検査のみ専門病院で行っていただくことも対応しますので、現在の主治医の先生ともよくご相談ください。
また、当院は難病指定医療機関ですので、難病受給者証が使用できます。
※当院ではWEB問診を行っています。初診の患者様だけでなく、再診、定期受診の患者様もWEB問診を入力いただくとスムーズな診察が可能です。ご協力の程よろしくお願いいたします。下記から入力をお願いいたします。
検査
日頃の外来では、炎症のチェックや薬の副作用のチェックのため、定期的な採血を行います。当院では、白血球数やヘモグロビン、血小板数、CRPが院内検査可能で、10分程で結果が出ます。
その他の項目については、外部検査会社に委託しての検査となりますので結果は翌日以降の確認となります。血液検査でわかる病勢マーカーとして、LRGも積極的に活用しています。
正しい病勢の把握と、炎症性腫瘍のチェックのためには定期的な内視鏡検査が重要です。
当院では、鎮静薬(眠たくなる薬)の使用や、二酸化炭素ガスを使用しておなかが張りにくくするなどの工夫をして、苦痛が少ない検査を心掛けています。
クローン病変がある事が多い終末回腸(小腸の出口)と大腸に関しては、大腸内視鏡検査で観察可能です。
その他の小腸に関しては、エコーやCT・MRIでの精査が必要なことがあります。CTやMRIは、ご自宅近くの検査専門クリニックの予約を当院からお取りし、同院での検査結果を当院でご説明いたします。
小腸内視鏡による精査が必要な場合には、当院連携医療機関及び、ご希望の専門医療機関にご紹介いたします。
治療
腹痛や下痢といった症状がなくなる臨床的寛解よりも、内視鏡的、病理組織学的に活動性がない粘膜治癒、内視鏡的寛解を達成することが、長期の再燃予防に有効とされています。当院でも粘膜治癒、内視鏡的寛解を維持することを目標に寛解維持療法を行っていきます。
ペンタサ®やサラゾピリン®といった5ASA製剤をはじめ、寛解維持治療としての免疫調節薬(イムラン®、ロイケリン®)各種生物学的製剤(レミケード®、ヒュミラ®、エンタイビオ®、ステラーラ®)の維持投与にも対応いたします。
クローン病は高脂肪食の摂取で増悪する特徴があり、成分栄養剤のエレンタールなどによる栄養療法も重要です。当院では管理栄養士による栄養指導も行い、栄養面からの治療、サポートも行っています。
手術や内視鏡的な狭窄拡張術が必要な患者様、増悪が強い患者様は、当院連携医療機関及び、ご希望の専門医療機関にご紹介いたします。